令和7年3月6日午後5時から午後7時まで第2回やまなし情報教育推進室フォーラムが開催されました。山梨大学甲府西キャンパスJ号館A会議室及びZoomを使ったオンラインのハイフレックス方式での開催となりました。
やまなし情報教育推進室は、山梨県をはじめとする小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の情報教育の一層の充実と振興を図るため、山梨県教育委員会と連携して令和5年10月1日に教育学部附属教育実践総合センター内に開設した推進室となります。その推進室が主催する第2回目のフォーラムでした。
今回のフォーラムは、「教育の情報化の現在とこれから」と題し、小・中・高校の情報活用能力の系統性を考える内容で構成されました。我が国の教育DX・情報教育をリードする堀田龍也氏(東京学芸大学教職大学院・教授、学長特別補佐)を講師に迎え、教育の情報化に関する最新動向についてご講演をいただきました。また、堀田龍也氏は中央教育審議会・委員をお務めであることから、これから求められる資質・能力や授業の在り方についてもお話をいただきました。
フォーラムの後半は、情報活用能力の育成に関する小・中・高の実践発表、パネルディスカッションが行われ、校種間連携の大切さや発達段階に応じて情報活用能力を育成していくことの必要性について考える機会となりました。
プログラム
17:00〜17:15 オープンニング
・開会の挨拶
・やまなし情報教育推進室についての紹介
・オンライン研修動画(高校編)の紹介
17:15〜18:00 基調講演
「2nd GIGA時代 これから求められる資質・能力、授業の在り方とは」
堀田 龍也 氏(東京学芸大学教職大学院・教授,学長特別補佐)
18:00〜18:25 情報活用能力の育成に関する小・中・高の実践発表
池田 理恵子 氏(甲州市立塩山南小学校・教諭)
今村 裕樹 氏(甲斐市立敷島中学校・教諭)
稲垣 俊介 氏(山梨大学・准教授/元 都立高校・主任教諭)
18:25〜18:55 パネルディスカッション「情報活用能力の系統性を考える」
(進行 山梨大学・准教授 三井一希)
堀田 龍也 氏(東京学芸大学教職大学院・教授,学長特別補佐)
池田 理恵子 氏(甲州市立塩山南小学校・教諭)
今村 裕樹 氏(甲斐市立敷島中学校・教諭)
稲垣 俊介 氏(山梨大学・准教授/元 都立高校・主任教諭)
18:55〜19:00 クロージング
■講師 堀田龍也氏の基調講演
2nd.GIGA 時代の教育改革、情報活用能力の重要性、1人1台端末を活用した授業改善等について、具体的にお話をいただきました。「これからの時代は学びに強くなければならない。そういう子を育てなければならない」という力強いメッセージもいただきました。最新のトピックを織り交ぜながら、優しい語り口調でたいへん分かりやすいご講演をいただきました。
■やまなし情報教育推進室の活動紹介
長谷川千秋推進室長から、やまなし情報教育推進室の活動内容について説明を行いました。推進室では、高等学校「情報」免許法認定講習の実施、教員向けオンライン研修コンテンツの開発と展開、ICT 支援員の学生版である「ICT 支援学生」の養成と附属小中学校への派遣、今回のようなフォーラムやWeb ページを通じた情報発信等を行っていることの紹介がなされました。
■小・中・高の実践発表
情報活用能力の育成に関する小学校、中学校、高等学校の実践発表が行われました。年間を通じて、どのような力をつけるために、どのような指導を行っているのかについての具体的な発表がありました。小・中・高の実践を並べてみることで、例えば小学校の実践が中学校や高等学校でどのように生かされるのかについての理解を深めることができました。
■パネルディスカッション
「情報活用能力の系統性を考える」とのテーマでパネルディスカッションが行われました。まずは、パネリストの実践発表に対する堀田先生のコメント、パネリストが他者の実践発表についてどのように感じたかの感想を交流しました。その後、参加者から出た質問を取り上げ、ディスカッションを行いました。設定時間には収まり切らないほど白熱した議論が繰り広げられました。
【参加者へのアンケート結果】
●申込者数 対面参加:39 名、オンライン参加:211 名 合計 250 名
●アンケート回答者数 56 名
① 今回のフォーラムの満足度を教えてください
1 満足した 50名(89.3%)
2 まあ満足した 6名(10.7%)
3 どちらともいえない 0名(3.6%)
4 あまり満足しなかった 0名(0%)
5 満足しなかった 0名(0%)
*100%の方が満足した・まあ満足したと肯定的な回答
② ①の回答の理由を教えてください(抜粋)
・小中高の発表を拝見するなかで、本校・本町の進捗状況を確認できた
・情報活用能力について、系統的に具体的に知ることができた
・次期学習指導要領について方向性を知ることができた
・堀田先生のお話が聞けてとても刺激になった
・これからのICTの活用について見通しが持てた
・堀田先生の講演はもちろん、小・中・高と揃った実践発表とパネルという構成がよかった
・市内でICTの活用を推進しているが、大切だと感じていることを改めて確認できた
・2時間という短い時間にも関わらず充実した内容のフォーラムであった
・理論と実践の両面からの話を聞けた
③ 今回のフォーラムに参加された感想を教えてください(抜粋)
・今回、山梨県教育委員会と大学が連携して取り組む仕組みは大変参考になりましたし、今後、このような取組が増えることが求められるなと感じました。今後も山梨県の取組から
学ばせていただけたらと思います。
・これからの2nd GIGAの時代にどのように授業づくりを考えていくのか、背景と実践との両面から考えることができ、とても学びの多い時間となりました。
・情報活用能力の向上は喫緊の課題であると感じた。教育課程の編成を行なっている中でも問題になったので、確かに情報活用の実践力を高め、充実した教育活動になるための基盤を作っていきたいと感じた。
・オンラインの参加形式がありがたかったです。発表者や運営の方々の皆様、ありがとうございました。
・ICTを活用した授業が入ってきても、普段からの学級経営が大切であることがお話の中から、実感できた。多様な子供たちに対応し、各自に力をつけるためにも、自分自身のICT活用能力を振り返りながら学び足していきたいと思った。「子供に委ねる授業」というと、「教師は一切教えない、一斉授業はしない」ととらえる方々がおり、悶々としたことがあった。そうではなく、「教えるべきことは教える」ということ(学級経営においてもだが)がお話の中で何度も出てきたので、これまでの自分自身の取り組みに自信を持つことができた。
・参加できて大変勉強になりました。発達段階に応じた使用方法や目的が具体的で分かりやすかった。
④ 今回のフォーラムの時間設定(2 時間)について教えてください
1 適切であった 50名(89.2%)
2 短かった 3名(5.4%)
3 どちらともいえない 2名(3.6%)
4 長かった 1名(1.8%)
⑤ やまなし情報教育推進室のフォーラムで今後取り上げてほしいテーマを教えてください(抜粋)
・こども主体の授業と情報活用能力
・生成AIの教育現場での利活用
・情報活用能力育成を目指した授業づくりの具体的な提案
・デジタルシティズンシップ教育について
・特別支援の児童や発達障害の児童に対する効果的なICT活用方法
・個別最適な学びに特化した内容
・パフォーマンス評価を行いながらどうICTを活用するか
令和6年3月18日午後6時から午後8時まで第1回やまなし情報教育推進室フォーラムが開催されました。山梨大学甲府西キャンパスJ号館A会議室及びZoomを使ったオンラインのハイフレックス方式での開催となりました。
やまなし情報教育推進室は、山梨県をはじめとする小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の情報教育の一層の充実と振興を図るため、山梨県教育委員会と連携して令和5年10月1日に教育学部附属教育実践総合センター内に開設した推進室となります。その推進室が主催する記念すべき第1回目のフォーラムでした。
今回のフォーラムは、「情報教育の現在とこれから」と題し、小・中・高校の情報教育の系統生を考える内容で構成されました。我が国の情報教育をリードする中野由章氏(工学院大学附属中学校・高等学校 校長)を講師に迎え、情報教育の最新動向についてご講演をいただきました。また、山梨県教育庁高校教育課の取組紹介、小・中・高の実践発表、パネルディスカッション、ICT支援学生の活動報告など盛りだくさんの内容で充実したフォーラムとなりました。
■講師 中野由章氏の基調講演
情報教育の充実へ向けて、小学校、中学校、高等学校の各段階でどのような力をつけておくべきかといったことについて、具体的にお話をいただきました。また、高等学校で必履修教科となった「情報1」が目指すこと、大学入学共通テストへの導入に向けて準備すべきことなど、最新のトピックを織り交ぜながらたいへん分かりやすいご講演をいただきました。
■やまなし情報教育推進室の活動紹介
長谷川千秋推進室長から、やまなし情報教育推進の設置背景や活動内容について説明を行いました。推進室では、高等学校「情報」免許課程の新設、1人1台端末の活用指導力向上のための研修や指導、オンライン研修コンテンツの開発と展開、今回のようなフォーラムやWebページを通じた情報発信等を行っていきます。
■山梨県教育庁高校教育課の取組紹介
三枝和博指導主事から、高校教育課では情報教育の充実へ向けてどのような取組を行っているのかについてご紹介いただきました。
民間企業が開発したコンテンツを用いた授業の実施、県内企業と協働したプログラミングツールを用いた問題解決型授業の開発、教員研修の充実等多くの取組を行っていることの紹介がされ、参加者の興味をひいていました。
■ICT支援学生の活動紹介
ICT支援学生とは学生が附属小中学校へ赴き、ICT活用に関するボランティアを行うもので、令和5年度より新たに始まりました。学校や地域のICT活用の促進者としての素養を身につけられるよう、派遣前や派遣中に研修会を行っています。
このICT支援学生の活動に参加した学生から、現場でどのような支援を行い、どんな学びがあったのかについての報告がありました。
■パネルディスカッション
多田早菜子氏(甲府市立中道北小学校)、雨宮友久氏(甲州市立松里中学校)、稲垣俊介氏(東京都立神代高等学校)、三枝和博指導主事をパネリストに迎え、講師の中野先生のコーディネートでパネルディスカッションが行われました。
まずは小・中・高校のそれぞれの校種の実践発表を行い、その後発表をもとに情報教育の系統性について深く掘り下げる議論が行われました。校種の接続を意識した基礎基本の積み上げの大切さを改めて認識する内容となりました。
【参加者へのアンケート結果】
申込者数 108名(対面参加22名 オンライン参加86名)
アンケート回答者数 28名
①今回のフォーラムの満足度を教えてください
満足した 22名(78.6%)
まあ満足した 5名(17.9%)
どちらともいえない 1名(3.6%)
あまり満足しなかった 0名(0%)
満足しなかった 0名(0%)
96.5%の方が満足した・まあ満足したと肯定的な回答
② ①の回答の理由を教えてください(抜粋)
山梨県の取組の具体を知ることができた
情報教育の状況が理解できた
情報教育を系統的に考える機会があまりなかったのでいい機会になった
理論的・実践的な内容でとても有意義な時間になった
使えるネタが多くあったため、本校の教育活動のヒントとなった
小中高で育てる資質・能力の系統生を知ることができた
全体的に議論がふわっとしている印象を受けた
③ 今回のフォーラムに参加された感想を教えてください(抜粋)
時間があっという間の盛りだくさんな内容でした
学校現場と県と大学の連携が素晴らしいです
このようなフォーラムがついに山梨で開催されたかと思うと嬉しいかぎりです
自分が学生だったときと大きく変わっていることを感じた
山梨県内の小中高の情報交換のネットワークの状況が少し垣間見えたと思った
パネルディスカッションをもう少し聞きたかった
高校での情報の扱いとそこに至るまでの小中学校での取り組みが大事なことを学んだ
系統的に考えていく必要性を感じた。一方で小学校段階でどこまで鍛えるのかについて考えていきたい
貴重な講話やパネルディスカッションによる学校の実践例、情報教育のこれまでの変遷、学校現場や行政に求められていることを知れたことがよかった
中野先生のお話はとても参考になりました。高校の情報についてもするべきことが見えてきたように思います。定期的にこのようなフォーラムを開催していただきたいです
オンライン配信もよい面はあるが、やはり自分は生の声が聞ける会場参加がよい。対面の機会も残していただけてありがたかった
④ 今回のフォーラムの時間設定(2時間)について教えてください
適切であった 25名(89.3%)
長かった 1名(3.6%)
短かった 2名(7.1%)
どちらともいえない 0名(0%)
96.5%の方が満足した・まあ満足したと肯定的な回答
⑤ やまなし情報教育推進室のフォーラムで今後取り上げてほしいテーマを教えてください(抜粋)
教育での生成AI活用
ICTを活用したこれからの授業づくり
高大連携で先進的な高校(山梨以外)の実践例
データ利活用の進んでいる自治体のお話
教科としての取り組み、教科等横断的な取り組みの具体例
情報モラル教育
小中高連携の事例
情報1のプログラミングの指導例