附属小中学校でICTに関するボランティアを行う学生を募集します。
ボランティアの経験を通して、授業や校務でICTを使いこなすための素地を養いましょう。
ICT活用が苦手でも大丈夫です。
派遣前、派遣中の特別講座やカンファレンス等でサポートをします。
これを機会にICT活用をあなたの強みにしましょう。
「教育ボランティア」の一つとして活動していただくことになります。
以下の所定の条件を満たせば「社会参加実習」の単位として認められる活動となります。
<単位取得の条件>
教育ボランティアガイダンスへの出席
活動時間30時間以上(45分を1時間とカウント) の参加
【キャリポ】教育ボランティアの記録(学びの振り返りシート)の記入
活動報告書の作成
教育ボランティア報告会への出席
【教育ボランディア ガイダンス】 (単位取得するためには必ず出席をしてください。)
日時:令和7年4月16日(水)14:50~16:20
場所:総合研究棟3階Y-31・32・33教室 (ブース番号 25)
令和6年度に実施されたICT支援学生ボランティア活動は、ICT活用の理論と実践を兼ね備えた教員を養成することを大きな目的として行われた。附属小学校や附属中学校の授業・校務のなかで学生がタブレットやクラウドツールを活用したサポートを行うと同時に、学生自身が現場ならではの気づきと実践的スキルを獲得する貴重な学びの場として機能している。令和6年度はこの取り組みが2年目を迎え、後期以降は「教育ボランティア」として位置づけられ、所定の条件を満たした学生には「社会参加実習」の単位が認定されるようになった。
本報告書では、研修と派遣の概要、実施した主な活動内容、さらに視察や資格取得に関する取り組みの様子をまとめる。あわせて、学生が活動を通じて得た学びや考察をリフレクションの形で紹介し、今後の展望に繋げたい。
令和6年度におけるICT支援学生の研修と派遣は、以下のように進められた。
【概要】
ICT活用の理論と実践を兼ね備えた教員の養成を目的として、ICT支援の教育ボランティアを行う学生に研修を実施し、附属小・中学校でボランティア活動を行った。
令和6年度は2年目にあたる。後期より「教育ボランティア」の活動として位置づけられ、所定の条件を満たせば「社会参加実習」の単位を授与する。
【研修】
派遣のための研修を6月19日、26日、7月10日、17日、24日、10月9日、16日、30日、11月13日、12月4日、18日、1月14日、29日の計13回実施。前期は16名、後期は7名が参加。
研修内容は、派遣先の学校での業務内容の共有と、その改善策の検討を教員がファシリテーションしつつ、学生同士で話し合いながら実施。
附属中学校への派遣前視察や、東京都葛飾区立東金町小学校へのICT活用先進校視察(2月26日)、Google教育者認定資格の受験に向けた研修や受験補助も行った。
【ボランティア活動】
ICT支援学生が附属小学校においては月〜木曜の朝の活動・授業・休み時間を中心に支援し、附属中学校では月・水・木曜に授業時や休み時間のタブレット使用状況の確認やトラブル対応を行った。
このように、授業や学校行事のみならず、端末管理、クラウド上での宿題提出、教員間の情報共有などにICTが組み込まれる中で、学生が多様なサポートを提供してきたことが本取り組みの特徴である。
研修は主に二つの柱を持って進められた。第一に、Google Classroomやルーブリックなど、具体的なツールやプラットフォームの機能を学ぶ演習的な学びである。第二に、活動先での具体的な課題を学生同士で話し合い、より良い支援に向けたアイデアを出し合う協議会的な場である。前者はスキルアップとICTリテラシー強化が目的とされ、後者は学校ごと、学年ごとに異なる実態や悩みを共有することで、学生が相互に学び合う機会を創出するために行われた。
さらに、附属中学校での派遣前視察は技術科のプログラミング授業やオンライン共同編集の現場を見学し、実際に生徒が困りがちな操作やトラブルへの対応をイメージできるように工夫された。学期後半には、葛飾区立東金町小学校のオープンデイ(2月26日)に参加し、ICT活用先進校の授業公開と教員同士の協議会を見学する機会を得ることで、より広い視野から自分たちの支援活動を振り返ることを意図した。
令和6年度にICT支援学生たちが行った支援内容を大きく分けると、次のようになる。
1.附属小学校でのサポート
低学年:写真や動画撮影、QRコードの読み取りなど、端末操作そのもののサポート
中〜高学年:調べ学習時の検索キーワード指導、Canvaでのプレゼン資料作成サポート、Classroomへの提出や共同編集の補助
2.附属中学校でのサポート
授業:技術科でのプログラミング学習支援、理科での実験記録(写真・動画)、英語や国語での共同編集レポート作成
休み時間:SNSやWeb検索の使用状況確認、トラブルが起こった際の一次対応・教師への連絡
どの場面においても、学生は「自分たちが支援に入ることで、子どもたちがさらに学びに集中できるようにする」という視点を意識しながら、機器操作の補助だけでなく、学習活動そのものを見通した声かけを行うことを目指した。
令和7年2月26日に行われた東京都葛飾区立東金町小学校の学校公開オープンデイには、ICT支援学生有志が参加した。ここでは、児童がタブレット端末を使って情報を集めたり、QRコードで教材にアクセスしたりする授業実践が随所に見られた。
また、探究活動の発表会や先生も楽しみながら行う授業づくりの工夫など、ICTを活用した協働的・主体的な学習を観察する貴重な機会となった。午後の協議会にも参加し、教員同士が意見交換し合う熱量を肌で感じることで、自らのICT支援活動にも新たな視点が得られたと多くの学生が語っている。
今回の活動を通じて、多くの学生が定期的にリフレクションを記し、研修の場で共有した。ここでは、その中でも特に考察が深く、教員としての在り方を示唆する内容が豊かだったものをいくつか紹介する。
「算数の授業を補助しながら、端末で撮影した板書を共有して復習に活用する様子を初めて見ました。一部の児童は操作に戸惑い、“どこにアップロードするの?”と混乱する場面もありましたが、時間をかけて声かけし、必要に応じて画面を一緒に見ながら指導すると、意外と早く慣れる子が多いことを実感しました。一方で、ふざけて撮影機能を使ったり、授業と無関係なアプリに触ろうとしたりする様子も目立ちました。ただ、それも興味や関心があって端末を触っている証拠なので、『ダメ』で終わらせるのではなく、次にどんな活用ができるか、どんな面白い学びに繋げられるかを一緒に考えていくことがICT支援学生の役割だと思います。」
算数や国語といった教科でのタブレット活用は、子どもたちの興味をかきたてる一方、操作そのものに夢中になり、勉強とは関係のない使い方に走るリスクもあるとAさんは指摘している。しかし、それを「遊び」と一刀両断するのではなく、「学びに転換するきっかけ」と捉える姿勢に大きな意義がある。現場での具体的対応や声かけを通じて、その可能性を広げようとする探究心を感じられた。
「活動の途中から研修に参加しましたが、Classroomでの課題配布から評価までを一連の流れで体験すると、従来の紙ベース指導より、教師にとっても子どもにとっても効率化・見える化が進むことに驚きました。特にルーブリックを導入することで、評価が曖昧にならず、子どもが自分の到達度を客観的に見られるようになる点は大きいと思います。実践の場でこれをどう根付かせるか、今後の研修や支援活動で探っていきたいです。」
Bさんのリフレクションは、学習評価の観点からICTの活用意義を指摘している。特にClassroomやルーブリックなどの具体的ツールが、授業の効率性だけでなく、子どもが自分の学びを客観視し主体的に改善する手立てになり得ることを理解している点が優れている。
「自分が活動に入らせていただいている学年以外の様子をなかなか知れないのですが、研修で他の学年や校種の報告を聞くと、ICT活用の仕方や子どものつまづきポイントが全然違うことに気づかされます。今まで『補助していればいい』と思い込んでいましたが、それ以前に、子どもたちがどんな面白さや難しさを感じるのかを想定することが大切だし、それをみんなと共有して次の支援につなげたいと思いました。」
Cさんの言葉からは、支援学生同士の情報共有や意見交換が、自分の活動を俯瞰し視野を広げるうえでいかに大切かが見えてくる。学年や校種によってICT活用の度合いや課題は異なるが、それを共有し合うことで、自らの支援活動の質を高める循環が生まれていることを示唆している。
これらの活動とリフレクションを踏まえ、以下の点を今後の課題と展望として示したい。
学生はより高度なICT活用のスキル習得を目指している。引き続き研修会や自主学習を通じて、教師として求められる実践的スキルを高めていくことが期待される。
課題の提出や共同編集だけでなく、ルーブリックや探究活動の振り返りなど、子どもたちの学習を支える仕組みとしてICTをどう位置づけるかが問われる。支援学生自身が授業設計や評価法に関心を持ち、教員と協力しながら新しい授業のかたちを探究していくことが重要になる。
小学校低学年から中学校にかけて、児童・生徒同士の協働作業や発表活動がますます盛んになる。そこにICTがどのように関与すると効果が高まるのか、現場での具体的事例を収集し、支援学生同士で共有・検討していくプロセスが今後も求められる。
学生が附属小中学校へ「ICT支援学生」として赴き、ICT活用に関するボランティアを行う事業が令和5年度から新たにスタートしました。大学の授業に留まらず、学校現場でICT活用について学び、実践を積み重ねていくことを目指しています。
学校や地域のICT活用の促進者としての素養を身につけられるよう、ICT支援学生には派遣前や派遣中に研修会を実施しています。研修会では端末の基本的な操作スキル、児童生徒への接し方、ワークショップの実施方法等を学べる体制を整え、学生自身が力を高められるようにしています。また、クラウドツールを活用して学生と教員がコミュニケーションをとったり、派遣中のリフレクションを相互に参照できたりする仕組みを構築しています。
ICT支援学生は、児童生徒の端末操作の支援、各種設定作業の補助、端末の更新作業、休み時間の端末活用の見守り等を実施してきました。
令和5年度の活動の様子をご紹介します。
1 学生募集期間 令和5年7月から8月
2 応募学生の所属と人数
1年生 3名(言語教育コース2名、生活社会教育コース1名)
2年生 3名(科学教育コース1名、言語教育コース1名、生活社会教育コース1名)
3年生 5名(幼小発達教育コース3名、科学教育コース2名)
大学院生1名(統合応用生命科学専攻)
計12名
3 派遣前研修の日程と内容
派遣前研修 全8回
第1回 9月19日(オンライン開催)
自己紹介、Google Classroomの使い方、学校現場におけるICTの活用(講義)
第2回 9月22日(オンライン開催)
授業場面でのICTの活用(講義、ディスカッション)、共同編集の方法(演習)
第3回 9月26日(オンライン開催)
ICTを活用した授業動画の視聴と感想共有、クラウドツールの使い方(演習)
第4回 9月29日(オンライン開催)
共有リンクの設定方法(演習)、検索ワードの指導方法、タイピングスキルの支援
第5回 10月4日(対面開催)
1人1台端末を活用したレクリエーションの実施方法(演習)
第6回 10月12日(対面開催)
ICT支援学生としての振る舞い方、学校現場で活動する上で留意すること(講義)
第7回 10月30日(対面開催)
活動中のリフレクションの書き方、Canva・Padletの使い方(演習)
第8回 11月8日(対面開催)
附属小中学校での活動の流れ、留意点(講義)
4 派遣期間
令和6年1月から3月まで
・活動日を週に2日ほど学生が設定し、1回2〜3時間ほどボランティアに従事した
・附属小学校と附属中学校の両方のボランティアに従事した学生がほとんどであった
5 派遣中研修
派遣中研修全1回
2月16日(オンライン開催)
派遣中のフォローアップを目的として、活動内容の具体や困っていることを学生から出してもらい共有をした。その後、学生が困っていることについては教員からアドバイスを行った
6.活動の様子
■派遣前研修の様子
派遣前研修の前半は夏休み中ということもあり、オンラインで開催した。学校現場におけるICT活用の考え方について講義を行ったり、ディスカッションを行ったりした。
夏休み終了後は昼休みを使って対面で研修を開催した。実際にパソコンを操作しながらICTの活用について体験的に学べるようにした。1回の研修は30分〜40分程度であった。
■派遣中の様子
学生は附属小中学校の教員と共有しているスプレッドシートを見て、自分が何年生の支援へ行くのかを確認してから活動に入った。スプレッドシートには附属小中学校の担当者からの連絡や校内の予定等が共有されていた。
小学校では端末の操作支援や児童が端末を使って発表する際の聞き手になる等の活動が多かった。中学校では端末活用の見守りが多かった。
■情報共有の方法
Google Classroomを使って研修資料、連絡事項、スケジュールの共有を行った。附属小中学校でも使用しているツールを用いることで、学生が操作に慣れることを意図した。
また、活動に行くたびに学生にリフレクションを記入してもらった。このリフレクションはクラウド上で共有されているため、教員が把握できるようになっている、また、学生同士も互いのリフレクションから学べるようになっている。
7 ICT支援学生としての活動を振り返っての感想
・小中学校で生徒と関わる機会を通じて多くを学ぶことができた。授業でのICTの活用のされ方や現場での課
題点など,支援学生として関わったからこそ学べたことがたくさんあった。
・学校現場でICTを活用していくためには、教師がラベル貼りや端末の更新作業などたくさんの準備をする必要
があることを体感できたことがよかった。授業では、私が受けてきた中学校の授業からは大きく変わり、ノートは紙ベースでなく端末でメモしている姿を見て、教育現場は常に進化しているのだと思った。
・学校現場でICT活動を支援すると共に、実際の使い方を知ることが出来た
・自分は受けてこなかった1人1台端末の教育が実際の教育現場でどのように行われているか見ることができ、この先活かせそうなことを沢山学ぶことができました。
・学校現場でのICTの活用を実際に見ることができて、これからICTを活用して授業できる教員が求められていることを実感した。また、元々ICTは苦手意識あったが、今回のボランティアを通して能力がちょっと向上したし、これからもっと活用できるようにしたいという思いがでた。
・私は、小学校高学年を担当していたため、使いこなせる児童がほとんどを占めていたので、直接的な支援をする機会が少なかったです。しかし、授業での使用方法を見ることができたため、とても勉強になりました。
・実際に児童・生徒がICTを使用している姿を間近で見て、使用の実態やICTの長所、使用する上で大切にしなければならないことなどを考えることができました。特に休み時間に生き生きとタブレットを使用している姿を見て、ICT機器が子どもにとって身近なものになっていることを感じると共に、この姿を授業でも見られるように授業を構成することは必要なことだと考えました。子どもたちが使えていたため、操作の支援に入ることはほとんどありませんでしたが、貴重な体験になりました。ありがとうございました。
・中学校での活動だけだったので、事前研修で行ったようなICT機器の使い方を教えるといった活動内容ではなかったが、キーボードの点検など一人一台端末を使うために必要な裏方の仕事に携わることができ、子どもたちがタブレットを満足に使えるようにするためには使い方がわかっているだけでなく、使える環境を整えることも必要だとわかった。
ICT支援学生は昨年度からスタートした事業です。さらによい事業になるように今後も工夫を重ねていきます。